こんにちは。コミュニケーションプロダクツ事業部(以下、CP)の伊藤です。

CPでは、SEOの観点から取引先企業様のWebサイトを中心に、集客最大化、ユーザビリティ向上などのご提案・ご進言を行っています。

今回は、Googleの検索アルゴリズムで利用されているAIが、検索している内容をどう理解して検索結果に反映しているのかについてご紹介します。

Googleは検索にどんなAIを使用しているの?

私たちが何気なく利用しているGoogle検索には、検索クエリ※からユーザーが求めている情報を見つけ出すためにAIが使われています。
主な種類と特徴は次の4つです。
※クエリ=検索時に入力された言葉・キーワード

■ Google検索に使われている主な AI

・RankBrain(ランクブレイン)
・Neural matching(ニューラル マッチング)
・BERT(バート)
・MUM(マム)

■ 各AIの特徴

RankBrain(ランクブレイン)

RankBrainは、Googleが最初に導入したAIをベースとするアルゴリズムです。

RankBrainの導入によって、人間には直感的にわかっても、機械にはわからなかったクエリの意図も理解できるようになりました。

Googleでは、検索されるクエリの15%は、初めて検索されるクエリが占めているそうです。
RankBrainは、新しいクエリの理解に役立ちます。

例えば、Googleで「あつ森」と検索すると、「あつまれ どうぶつの森」のゲームが上位に表示されます。
「あつ森」は、2020年の流行語でもあってゲームが出る前は存在しなかった言葉です。

もしもRankBrainが入っていなかったら、新しく生まれた「あつ森」という言葉を理解するのに時間がかかり、適切な検索結果を返せなかったかもしれません。

このようにRankBrainは、ユーザーが求めている情報に対して、より適切なコンテンツを検索結果に表示できることにつながっています。

Neural matching(ニューラル マッチング)

Neural matchingは、検索クエリとWebページを関連付けるのに役立つアルゴリズムです。

Neural matching の導入によって、検索クエリそのものではなく、クエリが持つ意図や概念も理解できるようになりました。

これにより、クエリの概念と文書の概念を対応づけることもできるようになり、Webページに検索クエリが含まれていなくてもテーマが一致していれば表示されます。

例えば、「無人島 マイホーム」と検索した際、「ゲーム」や「あつ森」というクエリを使わなくても「あつまれ どうぶつの森」が検索結果に表示されます。
ゲームの中で無人島にマイホームを建てられる特徴を理解しての結果だと推測できます。

この特性は、「お寿司 銀座 個室」など特定の地域や場所に関連する検索キーワードに対して、該当したお店を検索結果に表示させるローカル検索にも利用されています。
参考: Google Japan Blog 海外SEO情報ブログ

BERT(バート)

BERTとは、Bidirectional Encoder Representations from Transformersの略で、Googleが開発した自然言語処理のAI技術です。

私たちが日常書いたり話したりしている自然な言葉を機械が理解するのを助けています。
単語の組み合わせによってどのような意図や思考で検索しているかを理解して、より適切なコンテンツを表示するようになりました。

例えば、
「あつ森が2,000円で売っていた」
「あつ森を2,000円で売った」
この2つの文は、見た目には似ていますが、「製品を見つけた」と「製品を販売した」というまったく別の言葉です。

BERTは、「が」「を」や「ていた」「た」の違いを理解して、それぞれに適した情報を表示します。

MUM(マム)

MUMは言語を理解するだけでなく、作り出す能力も兼ね備えたAIです。
75の異なる言語と様々なタスクを同時に学習することで、情報と世界の知識をより幅広く理解できるようになっています。

例えば 「あつ森」の攻略情報を調べるとき、Webページで提示するのではなく、知りたい情報だけをGoogleが集めて教えてくれる、今後そうなるのかもしれません。

その他に、MUMは他のAIモデルよりも複数の様式で理解することが可能です。
テキストだけでなく画像や動画、音声などのコンテンツも理解することができます。

このように処理能力の高いMUMは、BERTの1,000倍の能力を持つと言われています。

Google検索にAIはいつ頃導入されたのか

Googleによれば、RankBrainは2015年頃より検索に導入され、その後2018年にNeural matching、2019年にBERTと、次々利用されるようになってきました。

MUMは2021年5月に発表されましたが、まだ開発・運用の初期段階で本格的には検索に導入されておらず、数か月から数年のうちに導入する予定とのことです。

各AIは独立して動いているわけではなく、それぞれが強調し合ってアルゴリズムに影響を与えています。
BERTは、ほぼ全ての言語でランキング決定に使われています。

GoogleのAIの能力向上に対して私たちが対策すべきこと

AIと機械学習の進歩により、Googleの検索システムは、これまで以上にクエリの解釈やコンテンツの理解能力が向上してきました。

作成するコンテンツを上位表示するためには、進歩する言語理解に対してどのようなSEO施策が必要か悩まれるかもしれませんが、特別な対応はどんどん必要がなくなると予測されます。

今後は、誰に向けて情報を届けたいのかわからないコンテンツではなく、そのコンテンツを誰に届けたいのか、ターゲットとニーズを見定めて、しっかりと丁寧につくることが求められるのではないでしょうか。

今回は、検索で利用されているAIについてご紹介させていただきました。
CPでは引き続きSEOの観点から、ウェブサイトの向上にて立つ情報を発信してまいります。

参照元:The Keyword
「How AI powers great search results」
「MUM: A new AI milestone for understanding information」