皆さま、こんにちは。
バリューイノベーション事業部(以下、VI)制作1課の高須賀です。

新規事業案、待っていますよ!」と、日々さまざまな事業提案を募っている全研本社では、いち社員のアイデアがそのまま採用され、新たなビジネススキームが多数生まれています。

社員の想いがもとで立ち上がった事業の中でも、
今回取り上げるのは、ライター育成事業「らいく

事業立案から立ち上げ、そして現在「らいく」の事業運営まで携わっている、中西マネージャーにお話をうかがいました。

▲ 今回お話をうかがった中西マネージャー。お仕事風景を撮影

社会貢献につながる
ライター育成事業「らいく」とは

― ライター育成事業「らいく」についてひと言でお教えください

中西マネージャー人類総ライター計画」です。

ただし、「総」というのは「ライターになりたい人」にかかっていて、ライターになりたい人全てが、すべからく「稼げるライター」になれるようなライター育成講座を目指しています。

― 「らいく」はどんな方を対象に、どんなコンテンツを提供されているのでしょうか?

中西マネージャー稼げるようになりたいけれど、経験値0。ライティングをどうやって学んだらよいかわからない人を主な対象としています。

また、出産後の社会復帰に対してハードルがまだまだ高い地方において、家で仕事ができないかと模索しているママさんだったり、社会貢献をしたいというアクティブシニアも視野にいれていますね。
「書くこと」が好きな人であれば、誰でも対象です。

現在、「ライター募集」「ライター採用」「ライターになりたい」などのキーワードで検索している人が、このコロナ禍において増加傾向にあります。

クラウドソーシングサービスなどでお仕事に応募して書いてはみたものの、フィードバックももらえず、知らないうちに修正され、文章全体がまるっきり変わって公開されている…なんてことはよくある話なんです。
「らいく」の会員さんとの交流でもよく聞きます。

「らいく」では、そういう迷子のライターさんにWEBライティングの指針を示し、できるだけわかりやすくスグ使えるテクニックや考え方をレクチャーしています。

WEBライティングは紙媒体と違って、検索エンジンで上位表示するためのコツとかテクニックも重要です。特に人気がある講座は、応募してくださった会員さまのテキストに赤入れをするという「赤入れ添削」と添削を動画で配信する「赤入れ配信」ですかね。

他にも、WEBサイトにおいての成果(お申込みや問い合わせ)につながる「売れるhtml講座」だったり、検索結果でクリックされるためのコピーセンスアップを図る「ライティング講座」だったり、その他さまざまなWEBライティングに特化した講座を展開しています。

地方出身者だからこそ声を大にして言いたい
「らいく」立ち上げの想い

― 「らいく」を着想したきっかけは何だったのでしょうか?

中西マネージャー全研本社でたくさんの編集者を育ててきた中で、ライターさんのスキルアップなくしては編集側の生産効率はあがらないと気が付いたことと、「人を育てるのが好きだ!」という想いが重なり、「課題」と「好き」の掛け合わせで何か事業にならないかというのがきっかけですね。

編集側は納期があるので、自分自身でテキストを直します。
ライター側は、自分の原稿がめちゃくちゃ直されているのに、その事実を知らないまま。
読んでみても、どうして直されたのかがわからない。

そんな状況を目の当たりにし、時間があれば、ちゃんと教えてあげたらできるようになるのに…というジレンマが以前からあったんです。

また、実は私は役者業を副業としていますが(※)、経験値がなかったり事務所に属してないと、逆に養成所の入所金を請求される…という、演じる側が搾取されている世界でした。

(※)中西マネージャーは、20年以上ひとり芝居のプロデュースから役者までされています。
記事編集者も何回か中西マネージャーのお芝居に足を運んでいて、とても素敵な時間を共有させてもらっています。

ライティング業界も文学・芸能の範疇で、同じような搾取のシステムがあったりする。
高いライティング講座に通っていても、講師と同じぐらい有名なライターっていませんよね?

そんな理不尽な世界から、ライターになりたい人達を救いたい。
仕事を実際に依頼しつつ、ライターさん達に成長してもらうことで、全研本社のWEBライティングのクオリティも上がり、編集者の工数も減って、多くのサイトをつくることができるようになる。

私自身も、「人を育てる」という好きなことができる…そんな三方も四方も良しな世界をつくりたいという想いから、「らいく」は生まれました。


※ 文豪をモチーフにしたらいくのイメージキャラクター達

― 「らいく」会員対象者に、「地方在住の方々」「シニア層」も挙げてらっしゃいましたが、ライターの地位向上以外に、「地域貢献」というところも「らいく」では視野に入れているのでしょうか。

中西マネージャーはい。自分は滋賀出身で、県内でも田舎の方になると、とにかく交通の便が悪く、雪が積もるとバスが動かなくなるぐらいなんです。

地方の定職率はまだまだ低く、特に女性は一度出産に入ってしまうとなかなか復職できないというのが現実。
元々ホワイトカラーのお仕事についていた人も、一度職場を離れるとまた元の仕事に戻るというのが難しい。
そんな方々にライターというお仕事はピッタリではないかと思います。
お家でできるお仕事ですし、まだまだお子さんが小さいママさんにも合う働き方ではないでしょうか。

また、現在の60代・70代は、まだまだ元気でアクティブな方が非常に多いですよね。
団塊の世代というのは、高度成長期の激しい競争の中を生き抜いてきた世代で、「24時間働けますか?」の精神で働いてきた人たちでもあります。つまり、一つの職を極めてきた人が多いんです。

けれど、娯楽施設などが少なく、移動一つするにも大変な地方においては、元気でハツラツとしているのに、手持ち無沙汰にしているシニア層も少なくない。

そんなアクティブシニア達に、Kindleで自費出版するような感覚で、自分たちが精魂を傾けてきた業界について語ってもらって、BtoB案件に活かせれば、全研本社としては独自性の高い有益なコンテンツを手に入れることもでき、元気なシニア達にも社会貢献の場を与えることができます。
もしかしたら、認知症などの防止にもなるかもしれません。

弊社の林社長がシニア事業に参入していきたいとおっしゃった際に、「らいく」も貢献できるのでは?と思ったので、「らいく」のコンセプトとして、ライターの地位向上の他にも、「シニア層への貢献」も入っています。

― 全研本社でライター育成を事業展開することになったきっかけは何だったのでしょうか?

中西マネージャー育てた編集者が、次々と顧客満足度の高いサイトを創出しはじめたことも自信につながり、「らいく」の構想を、直属の上長(黒田次長)に話したところ、「それ、全研本社でやってみれば?」と話をもちかけていただきました。

「会社のリソースを使って始めた方がリスクは少ないよ。そのためだったら、僕は応援するよ」と言ってくださり、全研本社での事業展開に踏み切ったのです。

ブログ編集者のひとこと

編集者私たちの成長が「らいく」事業を進めていくにあたっての自信につながったという話を聞いたときには、ほんとうに泣きそうになるくらい感動。
当時、中西マネージャーにたくさんもらった出力紙いっぱいの赤入れを思い出しながら、感慨深くお話をうかがいました。

順風満帆…でもなかった
事業スタートまでの道のり

― 「らいく」事業に対して、構想当初の周囲の反応はどのようなものでしたでしょうか?

中西マネージャー黒田次長に相談して以降、さっそく事業部長の本村部長に提案のためのアサインをしてくださったり、林社長にご提案する機会も作ってくださったりと、事業立案のプレゼンまでは非常にスムーズに進んだと思います。

プレゼンに至るまでには、100人のライターの成長が図れれば、今の3倍の件数のサイト制作が叶えられるという具体的な数値を算出したり、苦手な計算やパワポに四苦八苦しながらの資料作成でしたが、優秀なマーケターであり、社員の挑戦を大切にしてくださる林社長は、5分程度で主旨を理解し、「らいく」事業にご賛同くださいました。

本当に大変だったのは「その後」です。
講座をどういう形態でリリースするかのリサーチや、なにより、もともとの業務であった社内でのテキストの赤入れも毎日怒涛のようにおしよせてきて、ローンチまでにかなりの時間がかかりました。

― 事業スタートさせるまでどれぐらいの時間がかかりましたか?

中西マネージャー構想から計算すると、2年はかかっています。競合の費用や内容を調査し、「らいく」は徹底的に安く、内容を濃くしていこうという方向性が決まり、全研本社のグループ会社の成功事例なども参考にしました。

メンバーの協力のもと、Twitterでの地道な宣伝活動を経て、ついに、2021年2月(22日)に「らいく」事業スタート。2021年8月から、「らいく」専任になった…というのが現在までの時系列です。

― 他に苦難などありましたか?エピソードがあればお聞かせください

中西マネージャー苦難(笑)
基本楽しく推進させてもらっています。強いて挙げるなら、新規事業の推進と、十数人という新人を率いる(しかも毎月数名の中途採用の受け入れあり)課のマネージャーとの二束のわらじ状態が半年続いた、という点ですかね。

実をいうと、「らいく」のローンチは2021年の年明けを予定していたんですが、毎月増えていく新人メンバーの赤入れなど目の前のタスクに追われ、新規事業に本腰を入れられない…という状況が続いていたんです。

なんとか2021年の2月にスタートはしたものの、当時はコンテンツも充実しているとは言えない状態。
けれども、メンバーが地道に続けてくれていたTwitterの成果もあり、ローンチ後すぐ25名の会員さんが集まってくれていました。

― 大変な時期を過ごされたんですね。その後どのように危機を乗り越えたのでしょうか?

中西マネージャー状況をみるに見かねた黒田次長から、「らいく」を独立事業とし、兼業から専業に切り替えてみないかとお話いただきました。

育てている最中である編集者のことが気になって、後ろ髪ひかれる思いでしたが、今から振り返ると、私は育てるべきライターさんに向き合える環境、編集者にとっては自立するための環境ができる、お互いにとっても良い機会だったと感じますね。

「らいく」の力強い後方支援者・黒田次長にコメントをいただきました

― 最初「らいく」という企画を聞いたときはどんな印象でしたか?具体的に事業化まで展開できると感じてらっしゃいましたでしょうか?

黒田次長
中西マネージャーとは、これまで長らくライティング、編集をしてきた経験を活かし、将来はライターの地位向上を図りたいなぁ…と話をしていて。
であれば、そのビジョンを事業化して、自分自身のビジョンを全研本社で叶えたら?となりました。

これまでの経験を知っているだけに、「らいく」事業は、中西マネージャーではなければできないなと思いました。

―「らいく」事業への今後の期待など、メッセージをお願い致します

黒田次長全研本社のビジョンは「そこにない未来を創る」。
そして全研本社のミッションは「出会いの創出」です。

創業以来、人の教育や人材育成に従事してきた全研本社だからこそ、この「らいく」事業はまさに「全研本社らしい」事業。

だからこそ、「ライティングを通じて、そこにない未来を創る事業」として、
必ず成長、成功させてほしいと思っています。

周囲の自発的コラボ提案もあり!
現在の「らいく」事業運用について

―登録者へのご対応は日々どのようにされているのでしょうか?

中西マネージャー今は一人部署なので、毎日私が対応しています。

Twitterのフォロワーはおかげさまで、現在(2021年10月時点)1,200人まで増えてきました。
会員さまからの質問に関しては、遅くても半日以内にはお返しするようにしています。コンテンツ更新はほぼ毎日行っていて、編集部の原稿をお見本に赤入れのデモンストレーションをやってみたり、ちょっとしたライティング豆知識などを届けています。

― SNS活動など新しい領域へのチャレンジがあったということですね!他にはどのような企画が立ち上がっていますか?

中西マネージャー最近は動画コンテンツですかね。全研本社には動画制作の部署があるのですが、「らいく」の活動を特におもしろがってくれて、Youtubeチャンネル立ち上げのための撮影や準備が進んでいます。

動画では、注目すべきサイトをWEBライティングのプロの編集者視点で解説したり、エントリーシートや小論文の書き方解説をしたりとか、とにかく「書く」ということに対して、色んなコンテンツを配信していきたいなと思っています。

―事業スタートしてから、たくさんの発見があったのではと思いますが、事業展開して良かった、と感じたエピソードなどあればお聞かせください

中西マネージャーまず、ひとり事業なので、自分でスケジュールやタスク管理をきっちりすれば、定時で上がることもでき、インプットの時間を無理なく作ることができるということ。働き方のモデルケースにもなるのでは?なんて考えたりしています。

また、社内で特に「らいく」事業を宣伝しているわけではないのに、全研本社の様々な事業部から、「らいく」とそれぞれの事業部が持っている課題を組み合わせたら、こんな解決策が提供できるのではないか、といった事業展開案を持ってきて下さるので、自然に事業がスケールしていくことですね。

―私も転職して色んな会社をみてきましたが、なかなかない現象ですね(笑)

中西マネージャーそうですね(笑)。やっぱり、私も含め皆が「マーケター」であるからでしょうね。

最後に…
「らいく」今後の展望をうかがいました

― 「らいく」及び事業部自体の成長など、今後の意気込みをぜひお聞かせください

中西マネージャー個人的な意気込みとしては、これからドンドン会員数を増やして、高品質ライターを増産していくぞ!といったところなのですが、「らいく」の発足をきっかけとして、新規事業の提案や立ち上げにハードルを感じない人が増えて欲しいと思っています。
将来的には、1社員1事業企画を出せるようになったら面白いなと。

私は、課題をビジネスチャンスと考えています。

課題を抱えていない人なんていないですよね?
事業を起こすというのは高尚なことに思われがちですが、ソリューションはそこかしこに転がっている。
「課題」と「好き」を「得意」や「ソリューション」をどう掛け合わせるか?
または、今ある仕組みや事業・サービスを上手く横展開できるか?
世の中の新しい事業って、実はほとんどが”すでにあるモノ”から生まれている。

そもそも全研本社の商品プラン自体が顧客の課題を解決するためにあるものですし、それに携わっている社員全員にマーケターとしての資質があるはずなんです。

こんな事業をやりたい!と思っている人はもちろん、事業展開までは考えていなくても、何かしらの課題を見つけて解決したいと思っている人がいれば、なんだか面白そうだと思っている人がいれば、ぜひその気持ちを伝えてみてほしい。

私は社会人人生も後半戦の47歳ですが、40代に突入した頃から「仕事で何かを成し遂げたい」と薄っすら思うようになりました。

好きなことと、得意なことと、需要があること。
その3つが重なったのが、「自分のバリュー」だと以前本で読んだことがあって、【らいく】はまさにそれが重なった新規事業だと思っています。

最初は、自分の「新人編集者の育成」という立ち位置がなくなることに、もちろん不安も感じていました。
ですが、現在は対象者が編集者からライターさんに変わっただけ。

正直、全研に入社した時には自分が新規事業を立ち上げられるなんて思いもしませんでしたが、
モノを創ることが楽しい、という「好き」と、
人に教えるのが(多分)向いている、という「得意」と、
世の中に素敵なwebの書き手がもっと増えて欲しい、という「需要」が重なり、
コロナ禍における在宅ワーク希望者の増加が後押しをしている感じです。

とはいえ、条件が重なってもそれを認めて頂ける環境がなければスタートはできなかったので、
私の「やってみたい」を後押ししてくださった黒田次長、
事業化について厳しく暖かくご指導くださった本村部長、
ご提案に対してアドバイスしつつ「やってみなさい」と快諾して下さった松島取締役と林社長、
皆さんが追い風を吹かせてくださっているんだと思っています。

これまで12年間の全研生活で多くのサイトを創り、多くのメンバーを育てたことを、ずっと見ていてくださって、チャンスを頂けた。

がんばりは必ず見てくださっている方がいるというのが、全研にいると心から実感できます。

そして、悩んだり迷ったり困ったりしたら、いつでも相談して背中を押して貰える。
まだまだ事業拡大について模索中ですが、そのたびに環境と人に感謝して、また前を向けるんです。

編集後記

元々、中西マネージャーは、コンテンツマーケティングWEB制作の編集チームのマネージャーとして、総勢100名以上の編集者・ライター指導育成に携わってきた方です。今回取材をさせていただいた、私・高須賀も、新人時代は中西マネージャーにお世話になった編集者のひとり。

今回のブログ記事ひとつについても、内容チェックにとどまらず、新人時代を彷彿させるような(猛省)細かい赤入れをくださり、中西マネージャーの「書く」ことや「育てる」ことに対してのプロ意識を改めて感じた次第です。


▲ 赤を受け取った瞬間のブログ編集者:原稿用紙いっぱいの赤に愕然としながらも感謝に堪えません

「事業を立ち上げる」と大げさに考えなくても、いま感じている課題や「あったら良いな」「私、コレやりたい!」という気持ちに素直になって声を上げてみる。それだけで、周囲はその声を拾い上げてくれて、後押ししてくれる。

事業展開した後も、みんな基本的に世話焼きだし、自身の事業になにかプラスにできないかと野心的な社員が多い(笑)ので、一人にならないし、逆に一人でも新しいチャレンジがたくさんできる。

そんな環境が整っている会社なんだなと改めて感じた取材でした。

中西マネージャー、本当にありがとうございました!